2015年9月30日

〜人権問題講演会〜「メディア・リテラシーと人権」開催報告

IMG_5380〜人権問題講演会〜「メディア・リテラシーと人権」

 2015年9月11日(金)18時から、徳島グランヴィリオホテルにおいて人権問題講演会「メディア・リテラシーと人権」講師:北口 末広氏(近畿大学人権問題研究所教授)を開催した。

 講演会には、約70名の参加者があり、菖蒲さんの司会で、先ず、徳島中央ライフサポートセンター宮本会長の主催者あいさつで始まった。

【講演概要】

 「〝ミクロノ捜査〟1年半」という新聞記事が配られ、「ロリコン趣味の45歳」の小見出しに、記事のどこからそういうことが読み取れますか。等矢継ぎ早な質問から講演が始まった。

 先ず、今日のマスメディアを取り巻く状況として、情報操作を受けやすい体質・システムがあり、不当な一般化が横行しているのではないか。

 次に、「足利事件」の新聞記事から、1991年12月2日の報道とその後の報道、また、犯罪報道の犯罪性をエルンスト・ブロッホの言葉から「政治とメディアが連携すればどんな文化国もたちまち戦争の国になる。たちまち差別の国になる。」と報道の危険性を示唆した。

 更に、「郵便不正事件(偽証明書発行事件)」では、メディアにリーク情報の価値を信じ垂れ流す体質や、癒着と情報操作を受けやすい体質がある。

 一方、「冤罪発生メカニズムの究明」を行い、捜査当局にも冤罪を生ませないシステム作りが必要。その為には、無罪可能性の証拠収集の義務化、取り調べの可視化をすべきであり、捜査員の証拠なき確信・謝罪追求型の取り調べや、人質司法、虚偽自白と証拠捏造に決別させなければならない。  

 また、報道により人為的に作られた世論も自白維持の心理を萎えさせる。一人でも信じてくれる人がいれば自信が持て、「嘘の自白」強要に耐えられる。

 更に、冤罪を生み出した背景・原因を明確にするためにも、冤罪の原因を検証する公的機関の設置が必要。

 現実を正確にとらえる為にも「メディア・リテラシー」が重要であり、ニュースは現実を伝えるものであるか。取材先が何処か、コメントのどの部分をどう使うかで「現実」を変えることは簡単にできる。パラグラフの順番を変えるだけでも記事のトーンを変えることもできる。同じ「現実」を伝えても媒体によって報道の内容や論調がまるで違う。視点を変えれば「現実」も異なって見える。

 ニュースも、その媒体が持つ特性、メデイア企業のイデオロギー、地域性、読者層、商業的な判断、記者の興味、国情など、様々な要素によって形作られているもので、決して一つの「真実」が存在するわけではない。

メデイアが送り出す情報は、現実そのものではなく、送り手の観点から捉えられたものの見方の一つにすぎない。事実を切り取るためには常に主観が必要である。メデイアが伝える情報は、取捨選択の連続によって、現実を再構成した恣意的なものであり、特別な意図がなくても、製作者の考えや価値判断が入り込まざるを得ない。

結びとして、メディア・リテラシーを磨き現実を批判的に読み取り差別や冤罪を生むことのない、賢い世界を創造していきましょう。と、また、質疑では「マスメディアの誤りを正す方法として、お客様センターに電話する。BPO(放送倫理・番組向上機構)の活用も一つの方法」とアドバイスを頂き終了した。